背骨にあらわれる自律神経の反応



頭が疲れてガチガチになる、視線を動かすと目が回る、こめかみのあたりがズキンズキンする。 長時間パソコンの画面を見ていたり、細かな数字を追っかけていたりして、頭が疲れるとしばしばこのような症状に襲われます。頭部の微妙な位置のコントロールに重要な役割をはたしているのが、頚椎1番、2番に付着している筋肉群です。振動する車のなかで書類を見たり、細かな文字に視点を合わせながらの作業では、これらの筋肉群がガチガチになります。 これら上位2つの頚椎部は、脳に血液を送る椎骨動脈が大きく屈曲する部位になっており、過度の緊張は脳内の血流に影響を与えます。睡眠をとっているのに寝た気がしない、朝起きてもなかなか頭がはっきりしない。このような蓄積疲労はじつはこの部位の緊張と大きく関わっています。 頭脳系は、自律神経系や運動能力など、あらゆる心身の機能を統合し高度な調整をおこなっている場所ですから、かならず状態をチェックし、よい状態に整えておく必要のある重要なポイントなのです。 この部位に緊張がある側では、左のようなポーズを取ると脊髄から出てくる神経系が圧迫され動作にブレーキがかかったり、引きつれや痛みが発生してきます。 大脳は、後頭骨と側頭骨、蝶形骨からなる碗のなかで脳脊髄液のなかに浮かんだような形でおさまっています。横から見ると凹の中央に蝶形後頭縫合という関節がありますが、この関節は呼吸にあわせて緩やかな開閉をくり返しています(下図)。 後頭下の筋肉群が緊張状態にあると、このような頭蓋骨の運動のリズムが乱れが生じ、自律神経のスム−スな切り替えがおこないにくくなります。 身体が十分な休息を取るためには、起床時と睡眠時の自律神経系の交代がしっかりとめりはりがついていなければなりません。 昼間なのに横になって休みたいとか、夜寝ているのに眠りが浅くすぐ眼が覚めてしまう、目覚めの時にスッキリした心地よさがない。このような時、しばしばこめかみ(蝶形骨の大翼)に強い熱感を生じていることがあります。 後頭下筋群、あるいは頚椎の前側の筋群、顎関節の動きを調整すると、こめかみの強い熱感が消失し、肩や腰の強ばりがとれ、眼や耳の位置が揃ってきます。 頭痛や頭部の緊張感がとれ、調整中におもわず眠りに入ってしまう方も少なくありません。