O脚と身体の疲労

O脚の歩行動作とエネルギーロス O脚がたんに膝だけの問題ではないことが理解できましたか?

O脚は、腰部の硬化にはじまって、外側荷重の傾向外反母趾などとも関連しながら進行する現象なのです。

重みを生かす歩行動作で説明したように、わたしたちは、身体の重みをエネルギー源として身体動作を生み出すようにできています。O脚は、上半身と下半身の運動の連携が失われやすい姿勢ですから、結果的に身体がつかれやすかったり、身体の代謝が低下して体温が低くなる傾向が生まれるのです。

注意すべき最初の点は、骨盤と大腿骨の関係です。骨盤が前傾してお尻がはねている姿勢では、膝が内側に入りやすく、下肢本来の内股構造が保ちやすくなります。一方、骨盤が後傾してお尻が下がった姿勢では、左右の膝間が開きやすく、下肢本来の内股構造を保ちにくくなります。

骨盤の歪みをただす02で紹介したように、骨盤の形状には男性と女性の間で大きな性差があります。一般に、女性に比べ骨盤が後傾した男性の方にO脚の傾向が強く表れるのはこのためです。

腰部の硬化とO脚の進行 骨盤が前傾した姿勢を保つ上で、もっとも大きな障害となるのが腰部の硬化です。男性でも女性でも腰が硬くなってくると、左右の股関節の動きに制限が生じてきて、両膝がくっつきにくくなります。 デスクワークをする時、力仕事をする時、自動車を運転する時など、わたしたち人間も、実際の日常生活ではほとんど膝を曲げた状態で使っています。

このような状態で腰が硬くなると、基本的に身体をかがめた姿勢=骨盤を後傾した姿勢で、身体がかたまってしまいます。

姿勢の基盤は腰にあるで紹介したstage01stage04の姿勢の変化は、次第にO脚の傾向が進む方向でもあるのです。

O脚矯正の考え方

このようにO脚の矯正は、全身的な調整によってもたらされます。身体が本来持っている内股構造を引き立たせ、背筋をすっと立ち上がるように身体を導きます。

よい姿勢をつくるために、「天井から一本の糸でつり上げられたようなつもりで立ちなさい」と指導されたことはありませんか? 実際にそのような気になって、背筋を伸ばしてみて下さい。この時、背筋にすーっと涼しい一本の糸が通っている感じがおこるはずです。

調整にあたっては、腰部の弾力性を回復し、股関節膝関節の動きを整えてゆきます。とくに足関節の調整においては、荷重の中心を前方内側にかかるように導くことが必要です。

このために足裏アーチの補強をおこないます。対象となるのは、いずれの関節の深層にあって関節の固定にかかわ深層筋・靱帯群です。

姿勢のバランスが整うと、背筋に涼しい風が通り抜けるような感覚が生まれます。じつは、この感覚こそが自律神経のバランスをよい状態に保ち、身体のだるさやむくみ、体温の低下生理痛不順、肩こりやアレルギーなどを、よい方向に導いてれる大切な感覚なのです。

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